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*ロシア人国際結婚手続き1
Q:ロシア法での婚姻の実質的成立要件と日本法での婚姻の実質的成立要件にはどのような違いがあるでしょうか。
A:中国、フィリピン、タイに続き、次にロシアを検討する。試論2005Aug19
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ロシア
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日本
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婚姻意思の合致*1
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必要(家族法12条)
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必要(民法742号1号)
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婚姻年齢*2
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原則18歳(家族法13条)
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男性18歳、女性16歳(民法731条)
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重婚の禁止*3
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あり(家族法14条)
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あり(民法732条)
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近親婚の禁止*4
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あり(家族法14条)
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あり(民法734条)
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疾病(等)による禁止*5
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あり(家族法14条、15条)
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なし(憲法24条等)
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地位による禁止*6
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*6
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なし(憲法24条等)
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独立生計要件*7
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*7
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なし(憲法24条等)
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女性の待婚期間*8
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*8
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あり(民法733条1項)
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父母等の同意*9
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*9
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未成年婚の父母の同意はあり(民法737条1項)
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(但し、「新版渉外戸籍のための各国法律と要件」の訳文が前提であり、いわゆるこれは「訳文」たることの意味につき、各自の諒解を得られたい。)
*1 ロシア家族法12条では、自発的合意が必要とされている。
*2 但し、18歳未満でも、理由があるときで地方自治体が許可した等の一定の場合を除外している(家族法13条)。タイでも同種の規定があったが、地方の実情等で、例外を規定しておく必要がある国がある。これに対し、日本法ではこの意味の例外の許可は予定されていない。
*3 したがって、日本、中国、フィリピン、タイ、ロシアのいずれも重婚を認容しない。
*4 近親婚禁止の範囲は日本法の「3親等」は、叔父、叔母、甥、姪を含むのに対し、ロシア家族法14条では、基本的に兄弟姉妹の関係を射程にするので、より狭いと解される。比較法的には兄弟姉妹までを範囲とする国も多いとされる(新版注釈民法(21)・217)。なお、養親子関係も法文上は婚姻できない(家族法14条)。
*5 中国、フィリピン、タイ、ロシアとみてきたが、いずれも、結果的には疾病による禁止規定が存することになる(ロシア家族法では、同法14条、15条)。なお、ロシア法においては、「行為無能力者と認定された者」の場合も禁止されている(14条)。そして、疾病に関しては、「ヒト免疫不全ウイルスに感染している」事実等を隠匿していた場合の婚姻の無効確認の訴求権が規定されている(15条、「新版渉外戸籍のための各国法律と要件」675頁。)。
*6 中国法等と比較するために「地位による禁止」を掲げてみたが、一見では見当たらなかった。しかし、特別法にその種の規定(軍人等の外国人との婚姻禁止規定等)が存する可能性はあるので、留保としておきたい。
*7 独立生計要件とは、ここでは在職証明や資力証明の類をいうものとする。家族法の明文には無い
*8 待婚期間については、ロシア家族法では、規定は明文では見受けられない(「新版渉外戸籍のための各国法律と要件」による。)。
*9 ロシア家族法では、規定は明文では見受けられない(「新版渉外戸籍のための各国法律と要件」による。)。
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