タイ人との国際結婚の手続
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*タイ人国際結婚手続き2

Q:タイで日本人とタイ人がタイ法で創設的に婚姻する場合の典型的な手続(形式的成立要件)について、日本で日本人とタイ人が日本法で創設的に婚姻する場合の典型的な手続(形式的成立要件。法例13条2項3項。)と比較して下さい。(試論)2005Aug17
A:

 

タイ法の手続

日本法の手続

当事者出頭の要否*1

要(民商法1458条、1496条)

不要

婚姻手続の担当機関*2

登録官(民商法1458条)、外交官、領事官(14592項)

市区町村(戸籍課等)

婚姻登録の要否*3

要登録*3

要届出

成立時期*4

4

婚姻届受理時(届出日に遡及)

婚前健康診断の要否*5

不要

不要

成年の証人二人の要否*6

6

必要(民法7392項。なお、7422号但書に注意。)

所用時間*7

7

資料の揃い具合等により差異がある。

婚姻の証明手段*8

婚姻登録証の原本及び謄本等*8

婚姻届受理証明書、戸籍謄本、婚姻届(書)記載事項証明書

カウンセリングの類*9

9

不要


(なお、*10参照)

*1 日本法では、当事者が出頭する必要はない。したがって、婚姻届に署名がしてあれば、第三者が持参してもよいことになる。それゆえ、婚姻届を出すその時点において、タイ人側が物理的にタイに在っても、日本では婚姻可能であって、このような取扱を認容することに、今後、タイ政府が疑念を呈する可能性も存する場面も絶対ないとは言えないと解される(フィリピン法の文献だが、奥田安弘他訳「フィリピン家族法」28頁の論旨は参考になる。なお、タイ民商法1459条1項は、渉外婚姻の「方式」につき挙行地法を採用するが、問題は挙行地の解釈である。)。ただ、現在の日本の実務では、当事者が出頭しない場合、基本的に、当事者へ葉書を郵送する等で意思確認を行う等の適正手続に努めている。また、一般に、当事者が出頭しない婚姻届は稀であって、市区町村の担当者は偽装婚等を疑うと思われる。
 もし、日本法で当事者双方の出頭を形式的(手続的)成立要件としたらどうなるか。入管に収容されている事案につき、婚姻できないことになり、人権救済の見地から著しく不都合が生じることが予想される。ただ、比較法的に本人出頭を要しない日本法は例外的法制であることも否定できまい。

*2 タイの登録官は、在タイ日本国大使館の見解では、通例、タイ国郡役場の登録官である。なお、タイ民商法1459条2項では、あたかも渉外婚姻につき、タイ国の在外公館における領事婚を認容するかの文言もみられるが、仮にタイ国が領事婚を認容したとしても、日本では、法例13条3項但書により、日本人と婚姻する場合は、領事婚を創設的婚姻とすることは認容されない(レジストラ111・87)。したがって、日本に在留するタイ人と日本人とが、(最初に)日本の在京タイ大使館で「領事婚」により、婚姻をしたとしても、それは日本法では創設的婚姻として有効ではない。
 なお、日本の場合、登録担当機関は基本的に市区町村に固定してあり、これ以外の機関は通常は想定されていないが、在外公館に出すような場面もありうる(但し、外国人との婚姻については在外公館でできるのは、報告的届出に限る。)。ただ、その場合でも在外公館を経由し、市区町村へ送られる。なお、法務局へ直接資料を提出することはできないのが原則であるが、受理照会中は法務局へ直接、追加書類等を提出することは可能であって、また時間の関係で必要な場合もある。
 読者はおそらく、難しいことを書いていると感じられると思われるが、元々難しいので、やむを得ない。このような渉外戸籍法の話は、戸籍の専門誌の解説ですら誤っている場合もあるのである。たとえば、「戸籍時報」573号82頁下段末尾には「婚姻・・・の創設的届出」という題目のもとに、「外国に在る日本人と外国人の婚姻届」につき、「法例13条3項の規定により」、「その国に駐在する大使等に届出することができます。」とあるが、これは誤りであり、在外公館に「外国に在る日本人と外国人の婚姻届」の「創設的届出」はできない。なお、さすがに気付かれたようで、「戸籍時報」574号95頁に訂正が掲載されている(一度、図書館で読んでみることをお奨めする。)。「戸籍時報」の解説者はプロ中のプロ(普通の市区町村の担当者よりもはるかに詳しく、市区町村を指導する立場に立つ。)なのであるが、これが現場の実情である。

[法例](日本の国際私法)
第十三条 婚姻成立ノ要件ハ各当事者ニ付キ其本国法ニ依リテ之ヲ定ム
2 婚姻ノ方式ハ婚姻挙行地ノ法律ニ依ル
3 当事者ノ一方ノ本国法ニ依リタル方式ハ前項ノ規定ニ拘ハラズ之ヲ有効トス但日本ニ於テ婚姻ヲ挙行シタル場合ニ於テ当事者ノ一方ガ日本人ナルトキハ此限ニ在ラズ

*3 タイ法でも基本的に必要と解される(民商法1457条の明文)。一定の様式(民商法1458条)まで必要なので日本法の単なる登録よりは手続的負担が大きい。

*4 基本的に登録時と解される(民商法1457条)。ただ、日本法のように、「受理」とか「受け付け」等の概念はあり得る。
  なお、成立時期について補足しておく。先にタイで婚姻した場合、タイ法で婚姻が有効に成立した時点で、同時に、日本法でも有効に成立していることに注意されたい。ネット上でよく誤解されている点である。したがって、日本人がタイ人とタイで、タイ法で、婚姻したが、日本には未届の場合でも婚姻は「日本法でも」成立しており、その場合、タイ人側は、たとえ日本人側がする意思がなくとも、「単独で日本へ婚姻届を出すことができる」。けだし、これが「報告的婚姻届」の「報告」たる意味だからである(同旨、「戸籍落葉100選2」・295)。なお、この場合、タイ人は日本にいなくとも、タイから「勝手に」手続を行うことは可能である(郵送でよい。レジストラ111・83、111・315、111・286)。報告的届出なので、成年の証人二人も、日本人側の署名も要らない。そして、その結果、重婚が露見した場合、日本人側は重婚罪の構成要件該当性が生ずる(「配偶者のある者が重ねて婚姻をしたときは、二年以下の懲役に処する。その相手方となって婚姻をした者も、同様とする。」。日本刑法184条)。但し、筆者の経験上、真に婚姻しており、要保護性の存する外国人配偶者がいる一方、相続等の財産を目当てに、偽造の婚姻証明書が送付されて来たものと推定できるような場合があるので、一概にはいえず、市区町村等は慎重に対応しなければならない。たとえば、日本人側の死亡後、アフリカの某国から生前に婚姻していたとの婚姻証明書が送付されてきたような例もある(レジストラ111・286の場面であって、珍しくないことが伺われる。)。そのときの遺族の対応は厳しい。

*5 タイ民商法の明文では存しない。

*6 タイ民商法の明文では存しない。

*7 タイ民商法の明文では存しないが、現場では、結局、「1週間から2週間かか」るという(在タイ日本国大使館筋)。

*8 形式的成立要件ではないが、便宜上併せて掲げておいた。但し、日本で創設的婚姻を行った場合には、タイ国郡役場の「婚姻登録証」については発行されないという(在タイ日本国大使館筋)。もっとも、その場合でも、国際私法に照らし、通例、婚姻は日本でもタイでも有効である。
なお、タイで先に婚姻した場合、婚姻時に、日本での(報告的)婚姻届出用に、併せて、タイ人の住居登録証等の原本と謄本を用意しておく場合が多い。このような場面の場合、タイ人側の各種身分証明関連書類は、日本の婚姻届用と、入管用に複数部取り付けておくことが望ましい。なぜなら、日本の婚姻届の役所と入管は全く別の役所だからである。そして、入管は、婚姻の証明としては、日本側(戸籍)とタイ側(婚姻を証する書面)の両面を観るのが原則である(在特の場面は別途の考察が必要。)。もっとも、届書記載事項証明書を使えば、入管に出す身分証明書の部数が足りないのを補う効果はある(但し、届書記載事項証明書は、発行の要件につき、市区町村が勘違いしている場合があり、発行を渋るケースが多い。)。
ちなみに、興味深いことに、出生証明書(タイの場合、住居登録証が通例。)それ自体は、日本の戸籍法の婚姻届の場面では、創設的届出であれ、報告的届出であれ、「正確には」(通常は)不要である(多々、不正確な実務ないし現場が存在するが。法務局サイドは添付が望ましいとの指導を出しているとのことであり、「望ましい」がいつのまにか「MUST」になっているきらいがある。)。他方、入管の日配の認定の申請の如き場面において、出生証明書(の類)を要求するかは、入管の政策判断であり、東京入管についていえば、「近時は」デフォルトで原則として、要求する。
なお、国籍の証明書は準拠法を決定するうえでも必要であるが(なお、戸籍法施行規則56条1項)、その証明としては、婚姻証明書や出生証明書(の類)に国籍証明の記載のあるときは、別途の国籍証明書や旅券は不要である(レジストラ111・220)。

*9 タイ民商法の明文では存しない。

*10 なお、タイ本国政府(DEPARTMENT OF PROVINCIAL ADMINISTRATION)の対外向けの公式の「婚姻の手続」は以下のように表明されている。これは、はじめから英文でそのまま発表されているので、参考になろう。
Procedures
1. Marriage registration can be filed at any District Office or Minor District Office nationwide regardless of the birthplace of the couple.
2. Once the marriage registration is completed, each party will be given a copy of the Marriage Registration Certificate as evidence.
3. If the marriage registration is filed at the District Office located in female's birthplace (where the name is registered on the House Registration Certificate), the title used with the forename and the last name of the female will be changed by the District Officer. The female is required to file for a new Identification Card within 60 days. A service fee of 10 baht is required. If the marriage is registered elsewhere, the female is required to contact the local District Office to change her name and last name, as well as filing for a new Identification Card.
4. If both parties are unable to file for marriage at any District Office of Minor District Office, the couple can submit a request to the Registrar to register their marriage at any location under the supervision of that District Office. The parties filing for marriage are required to provide transportation for the Registrar. A service fee of 200 baht is required.
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